平成15年12月一般質問「安心して暮らせる安全なまち
平成15年12月12日(金)午後1時35分登壇

@「交通安全対策」について

現在、市内の道路や交差点などには交通安全施設として、交通規制や注意を喚起する標識、信号機やガードレール、車道と歩道を区分けする縁石、街路灯や車止めのポールなどが設置されていますが、自動車の衝突による交通事故が原因となり、それらの安全施設を損壊してしまう場合があります。

本来であれば、損壊した安全施設は、数日のうちに現状復帰をして、引き続き市民の安全を守る役割があります。
各区役所の生活課の職員は、通報があれば即座に現地に赴き、調査対応し、市民の安全な生活を守る努力を続けていただいています。担当職員の日々の努力には、心から敬意を表します。

しかし、原因者の損害保険を使用して修繕する場合には、事故の示談や保険金が確定・決済なされるまで、半月から数ヶ月のあいだ、修繕に取り掛かれず、未着工になっている箇所もあり、歩行・通行に支障をきたす場合も見受けられます。

保険金の支払いの決定を待っている間にも、市民は危険にさらされているのではないでしょうか。
危険防止のために設置されている物なのに、即時、補修の対応がされないのは、どう考えても納得できません。

そこで市民の生命や安全を守る交通安全施設は、市の方で即時に対応修繕し、後ほど原因者や保険会社に支払請求するシステムを検討し導入して欲しいと考えますが、いかがお考えでしょうか。


執行部答弁

建設局長
 安全対策についての、交通事故で壊された安全施設の早急な補修についてのご質問にお答えいたします。ご質問での道路施設等の補修につきましては、原則原因者負担として処理することから、時間がかかることは事実でございます。
 しかしながら、市民の安全を守るため緊急性を要するものや原因者が不明なものについては、市に指名登録してある契約業者にいち早く連絡をとり、緊急修繕を実施しております。
 その後、原因者が明らかなものにつきましては、修繕費用を原因者に対し請求をしております。
 ご提案のシステムにつきましては、原因者や加入している保険会社との関係もございますので、他市の事例等を調査し検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解の程お願いいたします。




A「メール通報システム」について

私のメールやホームページの書き込み欄に、市民の方から街路灯の玉切れの知らせが送られくる事があります。
現地に赴き、玉切れの確認をして、区の生活課へ修理を依頼するわけであります。

現在、市のホームページでは、各区のページに区役所総務課のメールアドレスが記載されています。
そこで提案ですが、街路灯の玉切れやカーブミラーの損壊などは設置番号が判りますので、市民からの「メール通報システム」を取り入れてはどうでしょうか。

私も自分でホームページを作成していますが、利用者が簡単に入力できるフォームを作ってインターネットのページ上から、メールで送信できるように作成し、そのページをウェブ上にアップするだけの話してありますので、すぐに取り掛かれる課題ではないでしょうか。

深夜でも、市民が帰宅途中で気付いた街路灯の玉切れ等を通報できるシステムの提案であります。

また、街路灯の中には、自治会独自で取り付けたものや、マンション建設等で取り付けた街路灯も数多く見られます。
それらの街路灯には街路灯番号が付いていないものがありますが、玉切れの対応などの場合に、どこへ補修をお願いして良いのかわからない場合があります。
番号のない街路灯は市の所有物として管理をすべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。


執行部答弁

政策企画部理事
 「メール通報システムについて」の@「カーブミラーや街路灯の玉切れなどの市民からの通報を各区のメールアドレスあて通報するシステム導入について」お答えします。
 現在、本市のホームページには、各課のメールアドレスを掲載し、市民からの通報や申し出につきましては、随時各課でメールを受け取れるようになっておりますが、更に、これらが簡単明瞭に行えるようにする必要があることは認識しております。
 さいたま市電子市役所構築アクション・プランでは、これらの手続きについて、厳格な個人認証を必要とせず、証明書等の交付を伴わない簡易な申請手続きについては、インターネットから電子で受付のできる統一的システムを検討しております。ご提案の「メール通報システム」につきましては、この中で対応してまいります。

市民局長
 「メール通報システムについて」のA「街路灯番号の付いていない街路灯の扱いについて」お答えいたします。
 議員ご指摘のように、自治会等が設置した街路灯が市に移管された後においても今だ、街路灯番号が付されないままになっているものが一部あります。これらにつきましては、電灯の交換や修繕が生じた際に順次、番号を整備しているところであります。




B「さいたま市の緑と生活環境を守るために」ついて

さいたま市の「みどりの量」をみると、公共緑地をはじめ、農地、樹林地、水面、その他の緑地の面積を合わせると、市の面積1万6833ヘクタールのうち約7533ヘクタールあり、市域面積の約44.75パーセントを占めています。

また、みどりの分布状況をみると、中央台地にある中心市街地では、みどりが少なく、中心市街地から離れるほど多くなっています。そして、農地面積は、約2660ヘクタール。
樹林地と呼ばれる山林は島状に点在しており、面積は約2338ヘクタール、市域の約13.9パーセントを占めていることが特徴としてあげられます。

このように、ゆたかな緑が多く残っており、広大な緑地である貴重な見沼田んぼ、台地上に点在する雑木林・屋敷林、寺や神社の雑木林などの文化的な「みどり」も多く残っているのがさいたま市であります。

動植物の生息空間である樹林地や水辺の「みどり」は、大気汚染や防災面にとっても非常に効果があるものであり、また、四季の移り変わりなどの自然のサイクルを感じさせてくれます。
公園や街路樹などの身近な「みどり」は、私たちに安らぎと潤いを与えてくれています。

しかしながら、近年の都市化の進行に伴う住宅地等の増加により、市内に残る貴重な樹林地や水辺の「みどり」が徐々に減少しつつあるようであります。
目に見える身近な変化として、区画整理地などでは、換地の区割りの際に宅地造成が行われ樹林が伐採されておりますが、その時に「ああ、まちのみどりが減少していくな」と感じるのは私だけでしょうか。

その地域に昔から生えている在来種の雑木を伐採・伐根し、保水能力に乏しい乾燥した土地に変えてしまい、都市公園の整備と言う名のもとに、本来はその地域には生えていなかったであろうと思われる体裁の良い外来種などの樹木を植えて「管理の効率性と外見のみを重視する」という公園の整備築造計画も見直さなくてはならないのではないでしょうか。

例えば、その地域に昔から生えている樹木、いわゆる在来種の雑木を、築造計画している公園へ移植して、「地域本来のみどりを守る」と言う手法は考えられないものなのでしょうか。

民有地等のみどりの保全策として、「さいたま市みどりの条例」が平成13年5月1日に施行されました。
この「みどりの条例」は、「良好な自然環境を確保するために」みどりの保全、および緑化の推進を図り、市民の健康で快適な生活環境を確保することを目的として制定されています。

条例の中に「保存緑地指定制度」がありますが、これは、良好な景観を有する樹林地・池沼等で、その一団の面積が500平方メートル以上のものを「保存緑地・保存樹木」として指定し、市と5年間の「緑地保存協定」を締結するものであります。
平成15年3月までに指定された「保存緑地指定の面積」は、62ヘクタール、指定箇所402ヵ所あり、248人の協定者が保存緑地の締結を行っております。

さて、「さいたま市みどりの条例」の中には、協定者の責務が明記されています。
良好な自然環境を確保すること、みどりの保全と緑化の推進に努めなければならないということ、所有者は、保存樹木等について枯れたり損傷をしないよう、その保存に努めなければならないとあります。また、保存樹林が枯れたり損傷した場合や滅失した時には、速やかに市長に届け出なければならないとも規定されています。

併せて、この保存緑地・保存樹木の指定を受けて、良好に管理がされている所有者に対しては、奨励金の交付要綱に従いまして奨励金が交付されているようであります。
市長は、奨励金の交付を受けた者が、条例および協定に違反した場合は、すでに交付した奨励金の全部、または一部を返還させることができるそうです。

指定を受け、協定が締結された「保存緑地・保存樹木」の中には、都市基盤整備が終了している地域に位置するものや、今だ都市基盤整備が遅れている地域に存在している場合など様々であります。

何箇所かの「指定緑地・保存樹木」を見てまいりましたが、人が侵入できないように、その土地の周囲を柵で囲んでしっかりと管理しているところもありますが、何の管理もしないで、野放し状態で放置されているところも見受けられます。
また、指定を受けている土地沿いには、市民の日常の生活道路が接道している場所もあります。

一例ですが、幅員1.8メートルほどの生活道路沿いには、暗い夜道を明るく照らして、夜間における市民の安全確保のために設置された街路灯がありますが、伸び放題の樹木がおおいかぶさり、葉が茂る時期になると照明の明かりをさえぎってしまっていたり、中には樹木が照明器具自体を包み込んでしまっていて、市民生活の安全を守るために取り付けられた防犯のための街路灯なのに、役に立っていない状態のところも見受けられます。
指定を受けた雑木林の繁みの所々には、林の中に入ることができるケダモノ道があります。
その繁みの中を覗いてみると、そこには、ちょっとした空間がありまして「夜間、いきなり人が飛び出してきて、この場所に引きずり込まれたら、どうなってしまうのだろうか」と思うと、とても危険な事であり、このまま放置しておけません。

このような実態を目にすると、本来は市民の健康で快適な生活環境を確保することを目的とし策定された条例であっても、監督や指導が欠けると周辺住民にとっては、逆に生活環境の悪化をもたらす結果になる場合もあるようであります。
例えば、住宅地に隣接している緑地に対しては、樹木の枝が道路部分にはみ出さないように徹底した指導をするとか、道路幅員が4メートル無いような狭隘道路に面した保存緑地には、土地の境界をセットバックさせて、市民が通行する道路幅員を確保するという手法も考えられるのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。

また、さいたま市内の、特に市境の周辺や河川の沿線には樹林地が点在しており、貴重な自然林が数多く残っています。先日もいくつかの樹林地を回って見てきました。

西区の中釘地域、北区の見沼田んぼ西側の樹林地、見沼区の丸ヶ崎地区綾瀬川沿線にある樹林地や染谷・片柳地域にある樹林地。そして見沼田んぼ沿いの斜面林。
さらには緑区美園地域に数多く点在する樹林地などは、その一箇所の面積が2000uほどの規模のものが相当数あり、自然学習の場や、子どもたちの冒険の場、アウトドア活動の場など、様々な市民活動の場として考えることができます。

しかし、そのような緑豊かな場所というのは、人家も少なく、夜間には街路灯も無く真っ暗なため、大変に残念なことに、建築廃材や産業廃棄物、家庭の粗大ゴミなどの不法投棄の現場となっている現状が多くの箇所で見られます。
民間地に不法に捨てられたゴミは、その土地の所有者や管理者による撤去が原則となっておりますが、素人が簡単に手を付けられる状態ではなくなっている箇所が多く、市民は長年にわたり困っております。

「さいたま市環境基本計画素案」には、市民・事業者・市の役割とパートナーシップが大切な方策であると掲載されております。
パートナーシップとは、「市民」「事業者」「市」はそれぞれの責務と役割分担のもとに積極的に互いに協力し、連携して環境の保全と創造に取り組むということであります。

先日、市民から民間地に対しての不法投棄の相談を受けましたので、早速、環境部の指導の下に、このパートナーシップによる環境整備の取り組みを三位一体で実践いたしました。
さらに今月中旬には、近隣で困っている、もう一箇所の不法投棄現場の片づけを、三位一体で行う予定でおります。特に今回は通学路に使用している中学生にも参加を求めておりまして、誰もが環境保全の活動に参加し、「おらが街の環境は、おらが守るんだ」という気概を持つ市民を増やしていくことが大切であります。
つまり「人づくりは街づくり」という、街づくりの大切な手法の一つであると考えています。
このように環境整備を進めていく中から、先にも述べましたが、自然学習の場や、子どもたちの冒険の場、アウトドア活動の場など、様々な市民活動の場として発展していくことが可能になるのではないでしょうか。

また、市のホームページで公表されていた「さいたま市環境基本計画素案」では、豊かな緑・生き物プロジェクトで取り組む施策として、里山を適切に維持・保全し、そこに生息する動植物の保護・育成に努めます。また、緑化を推進し、公園や樹林地などの点としての緑を、街路樹などの線で結び、これを地域の「緑の面」として、緑のネットワーク化を図り、緑の保全や生物の生息空間の確保に努めます。としています。

めまぐるしく都市化の進む中、市内に残された数少ない樹林地や斜面林を保全し維持していくための具体的な施策はあるのでしょうか。具体的な方策等について、現在どのように考えているのかお聞かせ下さい。

特に保存緑地は市の条例に基づき、良好な自然環境の確保や美観風致の維持・保全のために奨励金を交付していますが、現在の樹林地や保存緑地の管理は徹底されているとは言いがたく、所有者や管理者まかせの現状であり、周辺住民の安全で快適な生活環境を脅かしています。
良好な状態で、みどりを保存するための「柵や杭、囲い等」を設置・整備する事を目的とする助成金も必要なのではないでしょうか。

今後のさいたま市の、みどりの環境の創造と保全のための、環境整備助成金制度の創設と充実を図るべきではないかと考えますが、いかがお考えかお聞かせください。

執行部答弁

☆市長
 中山議員のご質問のうち、私から「緑と生活環境を守るためについて」の「緑の保全の取り組み」について、お答えします。
 緑の持つ様々な機能は、私たちの生活に欠かすことのできない、重要な役割を果たしているところでございます。しかし、近年、都市化が急速に進んでおります本市におきまして、身近な緑が減少していることは、残念なことと認識しております。
 本年11月に開催されました第44回「八都県市首脳会議」におきまして私は、緑の保全および創出に関する取り組みについての協議の中で、本市の緑の現状と今後の取り組みについて意見を述べさせていただいたところです。
 その中で、本市のシンボルであり、また首都圏近郊に残された数少ない大規模緑地空間であります見沼田圃を紹介したところであります。このかけがえのない環境資産である見沼田圃をはじめ、市内に残る雑木林や斜面林などの貴重な緑の保全、さらには緑の再生、創出について、現在策定を進めております緑の基本計画において、多くの市民の意見を聴きながら、緑を基調とした美しい自然環境からなる都市づくりを目指して取り組んでまいりたいと考えております。

☆都市局長
 「緑と生活環境を守るためについて」お答えします。
 都市化の進展に伴い、市内に残る貴重な緑が年々減少しておりますことは、議員ご指摘のとおり大変残念なことと認識しております。
 始めに、区画整理事業におきましては、今後もできる限り既存の緑や自然を残すように設計にも用いるとともに地権者の方にもご理解いただけるようにご案内したいと考えております。
 本市では、市内に残る貴重な緑を保全するため、さいたま市みどりの条例に基づき、公共の利用に供することを目的とした自然緑地や保存緑地など指定緑地制度を実施しており、所有者の同意を得て指定し、保全に努めているところでございます。
 ご質問の@4メートル未満の道路に接する保存緑地のセットバックについてでございますが、市が指定する保存緑地は、所有者の方の意向によりセットバックすることについて妨げるものではございません。

 次にA数少ない樹林地や斜面林の保全維持の具体的な方策についてでございますが、今後も指定緑地制度の推進を図るとともに、現在策定を進めております「緑の基本計画」において、樹林地や斜面林の保全について検討しております。

 次にB環境整備助成金制度創設、充実についてでございますが、保存緑地の管理につきましては、現在、さいたま市指定緑地補助金交付要綱に基づき、緑地の適切な保全または管理を図ることを目的として所有者に対し補助金を交付しているところでございます。今後も所有者の方に対し適正な管理をしていただくよう指導を行うとともに、市民との協働による保全を進めてまいりたいと考えております。
 また、特に住宅地等に隣接する保存緑地につきましては、周辺住民の生活環境にも配慮した緑地のあり方について、今後検討を進めたいと考えております。





C「青少年を守り育てるために」ついて

近年、青少年を取り巻く諸状況には、誠に憂慮すべきものがあり、各地域において具体的な取り組みが模索されているところであります。
少年非行の低年齢化が進み、いじめ、不登校児童・生徒の増加など、学校をめぐる問題が深刻化する中で、学校自身の取組方針が「抱え込み」から「開かれた連携」へと転換されつつあり、子どもたちの健全育成のために、学校、家庭、地域社会が一体となって取り組むことが求められています。

こうした中、日頃から、地域社会の中で、犯罪や非行をした人たちの立ち直りと犯罪予防活動を行う、保護司などの更生保護関係者の方たちが頑張って活躍しております。
保護司とは、保護司法にもとづき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員です。
更生保護に関する専門的な知識に基づいて保護観察の実施などにあたる保護監察官と協力し、地域社会の中でボランティアとして、犯罪や非行に走った人たちの立ち直りの援助や、地域住民からの犯罪や非行の予防に関する相談に応じ、必要な助言や指導を行うなど、更生保護行政の重要な役割を担っています。

更生保護の「犯罪や非行の無い地域社会の構築」というニーズと、学校教育の「地域に開かれた学校体制」、「週5日制の完全実施」による「情報連携・行動連携」というニーズから、平成13年5月23日付けで法務省において、更生保護官署および保護司をはじめとした、更生保護ボランティアと、教育委員会および学校との連携を一層強化することを目的として、「保護司と学校との連携強化のための推進要綱」を法務省が定めました。

それを受けて、埼玉県保護司会連合会では、学校と更生保護との連携を一層充実、発展させ、児童・生徒の健全な育成を図るために、小・中学校との連携強化のための具体的な行動計画を策定することとしました。
その推進要綱に書かれている行動計画には、「学校との協議会等の開催」「保護司による授業」「心の相談員としての活動」「教育委員会の生徒指導活動への協力」「PTA参加のセミナー開催」などの具体的な活動が列記されております。

その活動の目的とは、児童・生徒の健全育成および非行防止のため、学校、家庭、地域社会が一体となって取り組むことが求められていることを踏まえ、保護司会と学校との連携強化の必要性について両者が共通認識を持ち、その効果的かつ発展的な連携について具体化を図ることを目的としています。
犯罪や非行をした人も、何らかの処分を受けた後は、地域社会で生活を続けます。

法務省・保護観察所からは、「学校との連携を一層充実させなさい」と指示が出ているが、さいたま市の場合、連携が明確でないため、市内の小中学校と保護司との連携が取れていないのが実情なのではないでしょうか。

特に近年、中学生の保護観察対象者が増加する傾向にあり、中学生の保護観察対象者に対する、保護観察の充実を図る観点からも、中学校との緊密な連携は不可欠であり、保護司などの更生保護関係者と、さいたま市との具体的な連携事業が必要であるとも考えます。
もっと横の連携を充実させるためにも、地域で活動する保護司に対して、教育委員会から市内全校の学校協議会、学校評議員等への参加を求めてみることについて、いかがお考えでしょうか。

また、旧大宮市時代には、福祉総務課に保護司会の事務局があり、連携が図られていたようでありますが、合併後は独立を余儀なくされているようであります。
来年には各区での支部設立の動きも聞こえてまいりますが、保護司の役割の重要性を十分に認識し、市として更生保護行政に対して積極的に関わり、各区の担当課に事務局を設置するなど、市が事務局を行うことにより、行政の立場から教育委員会との十分な連携を図れるよう取り組み、専門職である保護司の活動の支援を図るべきではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。

執行部答弁

☆教育長
 「青少年を守り育てるためについて」の@について、お答えいたします。
 旧大宮地区で組織された学校協議会やさいたま市が今年度から導入を始めました学校評議員制度は、学校が保護者や地域住民の信頼に応え、家庭や地域と一体となって子どもの健やかな成長を図り、地域に開かれた学校づくりを一層推進していくために設置したものでございます。
 保護司の参加につきましては、ちなみに、さいたま市において、来年度までに全校設置を目指しております学校評議員について申し上げますと、現在のところ、学校評議員制度を実施している71校中11の学校において、保護司の方を学校評議員として委嘱しております。
 今後、教育委員会といたしましては、学校運営の活性化、開かれた学校の観点から、地域で活躍されている保護司の方も含め、幅広い分野の方々から人選を学校でしていただき、学校評議員制度が充実するよう、また、学校が保護司との連携を深め、児童生徒が地域の中で健やかに成長するよう努めてまいりたいと考えております。

☆保健福祉局長
 中山議員のご質問のうち、所管部分についてお答えいたします。
 保護司の皆様が担っている更生保護の仕事は、罪を犯した者の更生を助け、その再犯を防止し、完全な社会復帰を図ろうとする崇高なもので、明るい社会を築くためには、欠かすことのできない大変根気のいる、地道な活動であると認識しております。
 市といたしましては、保護司会への補助金交付を通じ、保護司の活動を支援しているところでありますが、事務局業務につきましては、各保護司会において展開していただいておるところであります。
 保護司会におかれましては、新たに区ごとに支部を設け、区に根ざした更生保護を目指されておることから、市といたしましては、各区単位に保護司会と連携を深め、保護司活動が円滑に進められますよう、可能な限り協力してまいりたいと存じます。




D「障害児を子育てするならさいたま市」について

西区三橋に総合療育施設、心身障害総合センター「ひまわり学園」があります。
このセンターは、大きく3つの施設で構成されています。
1つは、大人の心身障害者の施設である「みのり園」。
2つ目には、未就学の心身障害児を対象とした総合療育施設があります。
それは、外来部門と通園部門に分かれており、通園部門はさらに3つに分かれます。
身体の不自由な子の通園施設であります「つぼみ園」。精神発達に遅れのある子の通園する「めぶき園」。聞こえや話し方に問題のある子の通園施設であります「わかば園」の3つであります。
そして、大きな3つ目には、肢体不自由の小・中・高校生の子どもさんたちが通う、市立養護学校があります。
それら3つの施設が一体となった、とても充実した、全国にも誇れる内容で構成されています。

この「ひまわり学園」は、医療・福祉・教育が一体となって、心身障害児の早期発見、早期治療を行うとともに、その障害に応じた療育を総合的に行うことを目的に運営されています。
議員になり10年間、福祉部門の様々な現場を見聞し、また体験して参りましたが、このような施設が市内にあることに対して、障害児を抱える保護者からは感謝の声も多数聞こえてくるわけで、さすがに「子育てするならさいたま市」だなぁと思うわけであります。

肢体不自由児たちが、家庭を離れ学校へ通い、少しずつでも社会へ出て行くことは大変に重要なことであり、ノーマライゼーションの社会の実現に向かう大切な施策の一つでもあります。

ただし、市立養護学校につきましては、様々な面で県立の養護学校との格差があります。
例えば、学校専用のプールや、雨の日の運動のための体育館が無いという課題であります。
肢体不自由の障害を持つ子どもたちにとって、プールに入るということは、浮力を生かして自由に身体を動かし、楽しめる唯一の環境であり、大切な運動の機会なのです。
合併以前には、三橋の施設近くにある市営プールに入りに行っていたそうでありますが、合併後、市民プールのような大衆プールには、小学部の児童は入場を断られてしまう場合もあった、というような話も聞いております。
夏の季節、小学部では、市内の保育園でよく見かける組み立て式の3m×4m位の浅い子ども用プールを使用しており、中学部・高等部では、専用の大型組み立てプールはありませんから、近くの市営プールに入りに行っているという現状です。
これらの問題や課題も、普通校のように学校に独自のプールがあれば解決することです。
合併前に、学校からプールの建設の要望があったと記憶していますが、その後どうなっているのでしょうか。お聞かせください。

他に心配になるのが、不審者の侵入や、急な発作などの万一の緊急時の対応策であります。
それらに対応する設備は充実しているのでしょうか。
全館に緊急放送を流すための放送室や設備はあるのでしょうか。
また、各教室での事故発生時に緊急通報するためのホームテレフォンやインターフォンなどの緊急通報システムは確立しているのでしょうか。お聞かせください。

また、気管切開をして、人口鼻と言われるディスポを付けた児童などの、医療ケアが必要なクラスに配属勤務した一般教員は、施設のドクターから吸入や経管栄養チューブを接続するなどの医療的ケアの研修を校内で受け、ドクターの認定をもらってから、その担任として頑張っておられます。
しかし、障害を持つ子どもたち一人一人が障害の程度も、状態も違うというのが、障害福祉の現場の難しさと大変さであります。

万一、気管器具に接続されている管が外れてしまったら…などと最悪の事態を考えていたら、学校教育のプロフェッショナルである教員たちも、とても勤まるものではないと思います。
養護学校の特殊事情を鑑みると、万一の事故の発生も危惧されますが、事故は無いに越したことはありません。

市立養護学校へは、県立の大宮北養護学校と比較すると、比較的重度の障害を持つ児童が多く通ってきています。当然リスクが大きい児童が多いということであります。
合併後は、生徒数も一段と増えてきており、教室の数も足りなくなってきているように仄聞いたしますが、現場での教室不足は発生していませんか。お聞かせください。

そして保護者は、様々な面で100%近い補助がある県立養護学校ではなく、一部に保護者負担があっても市立養護学校の方が、医療的ケアが優れていて充実しているということで選んで通ってきています。
保護者は、自分の子どものリスクを十分に知った上で、児童の体調や状態の良い時に養護学校へ通わせております。

障害を持つ児童・生徒に直接的に携わる教員が、事故を恐れるあまり、保護者に付き添いを依頼したり、不安に駆られた教員の職場放棄というような状況が発生しているとしたら、その学校は正常に機能しているとはいえないのではないでしょうか。
重度の障害を持つ児童に対して気を使い過ぎるのか、学校内での規制が厳しくなっている反面、養護学校なのに保護者に対して医療的ケアを丸投げして、学校で一日待機させていたりと、親に頼り過ぎる面が、多々あるようにも仄聞いたします。

慎重になることは大切なことでありますが、慎重になりすぎて、あたかも家庭なら良いが、学校で万一のことが発生しては困る、というような態度が保護者に伝わるようでは、子どもたちのために一番大切な、保護者と教員のコミュニケーションが取りにくくなる恐れもあるのではないでしょうか。

また一人親の家庭が多い中、学校に呼ばれてしまえば働きに行くにも行けないで困っているという声も聞こえてまいります。
この原因として考えられるのは、養護学校であるにもかかわらず教員の数が不足しているのではないのでしょうか。

また、医療的ケアの専門的な知識と経験が不足していて、充実したケアを施すことが困難になっている。などが考えられますが大丈夫ですか。市立養護学校の現状を教えてください。

また、教員のうちの一人が休職すれば、養護学校での他の教員への負担は、一般の普通学校に比較すると、比べ物にならないほど重くなります。
そのような時には、代用教諭や臨時採用の教員が配備されることと認識はしておりますが、一年間のうちに何度も担任が変わるということは、保護者にとって不安になるのではないでしょうか。
長期にわたり休職している者や、障害を持つ児童に触れるのが怖くて仕事にならない、つまり、養護学校に向いていないという教員に対して、行政の担当課は毅然とした指導と、ケアをしなければならないと考えますがいかがお考えでしょうか。

養護学校の教員が、専門知識や経験を持たないため、怖がって手を出すのをこまねいているというのは、その教員が悪いのではなく、一般教員では、養護学校の医療ケアに対しての荷が重過ぎるのでしょうから、専門の養護教諭や指導員などを配置すべきと考えます。
養護学校という特殊性を考慮し、教員の採用については、一般普通校から異動するのではなく、養護学校の教員資格を持つ者を、さいたま市独自で採用するなど、新たな方策を考えるべきと思いますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。

人間の持つ知識や経験というものは、行動をおこす上での一つのアイテムに過ぎません。
どんなに素晴らしい知識や経験を持っていたとしても、相対する人間に対してソフトの部分である、気持ちが伴っていなければ、何にもならないということであります。

障害のあるなしに関わらず、すべての人にとって「子育てするならさいたま市」と心から言える、安心して暮らせる政令指定都市として充実させたいものであります。

執行部答弁

☆教育長
 @の「プール」と、C「教室の不足」は関連がありますので併せてお答えいたします。
 まず、養護学校のプールについてですが、肢体不自由の児童生徒がプールを利用することは、浮力の大きい水中で体を動かすことで運動機能の回復、健康の増進、体力の向上および精神の安定等が図られ、効果があるものと考えております。本年度、市立養護学校では、三橋総合公園室内温水プールや三橋プールを中学部、高等部で利用いたしました。小学部では、児童の安全や着替え、移動などで時間がかかるため、身体的負担を考慮し、校内で組み立て式簡易プールを利用いたしました。なお、小学部では、校外活動で市外の室内温水プールを利用しております。
 次に、教室数の不足についてですが、在籍する児童生徒は、年々増加しており、医療的ケアを必要とする児童生徒も増加しております。現状では、ベットに横になった状態で医療的ケアを受けざるを得ない児童生徒もおり、その対応のために教室等は大変厳しい状況にあるのは事実です。
 今後の特別支援教育の方向性も念頭におきながら、内部の障害児教育推進検討会議において、現在色々な角度から対策を協議しているところです。

 続きまして、A「侵入者や発作等の緊急時の通報システムについて」お答えいたします。
 緊急時の対応については、全館への放送設備、教職員全員の緊急事態発生を知らせるブザーの携帯、各教室の緊急連絡用のインターフォンの設置はされております。さらに万一、緊急事態が発生した時の緊急対応マニュアルに沿って対応できるようにもなっております。

 次に、B「教員数は不足していないかについて」ですが、現在、養護学校では、児童生徒75人に対して、教員のほか看護師や医療介助員および介助員、そして養護教諭など76人の教職員が指導にあたっております。また、平成14年度より看護師を1名、専任として配置しております。
 医療的ケアにつきましては、医療的ケアマニュアルに基づいて、専門医の指導による研修を受けたあと、実施可能であると医師より許可を得た教員や養護教諭および看護師が複数で対応しております。
 なお、障害が重度化・重複化し医療的ケアを必要とする児童生徒につきましては、保護者の了解のもと、付き添っていただいたり待機していただいたりすることがあります。

 D「長期休職等の教員に対する担当課の指導、ケアについて」ですが、教職員の心のケアのために、メンタルヘルス相談の紹介、また、専門性を高めるための各種研修会の実施、養護学校の免許状取得についての講習会への参加などを促進しております。さらに、小中学校との積極的な人事交流も進めております。

 E「養護学校の教員採用はさいたま市独自で養護教員資格者の採用を考えられるか」についてでございますが、市立養護学校の教員につきましては現在、小・中学校教員の中から、特殊学級担当者の障害児教育経験者や障害児教育に意欲的に関わろうとする者、養護学校教諭免許状所有者を中心に充てております。また、埼玉県教育委員会との積極的な人事交流により、県立盲・ろう・養護学校等の教育を採用して、教育活動の充実に取り組んでおるところです。
 埼玉県では、県立盲・ろう・養護学校の教員の新採用につきましては、これまで、幅広く多様な人材を確保するとともに人材を活性化するという目的で、小・中・高等学校教員志願者の中から採用していることもあり、来年度教員採用選考試験を単独実施いたします本市といたしましても、県と同様に、必要に応じて採用予定の小・中学校教員の中から、適任の者を任用してまいりたい、このように考えております。